Hofner Club Bass ゼロフレット修正

ナット

ローポジションのピッチがフラットするということでお持ち込みいただきました。
その場で一緒に確認したところ、やはりかなりフラットしています。どうやらゼロフレットの位置に問題がありそうです。

お預かりして細かく測定。各フレットの位置から全体のスケールを逆算し、ゼロフレットの正しい位置を割り出します。

スペック上は30インチ(=762mm)らしいですが、フレット全体を見ると761.2mmと見做すのがこの楽器には妥当なようです。ゼロフレット以外のフレット位置もやや不正確なためスケールを当てはめるのはパズルのようですが、全体で破綻のない状態を目指します。

ゼロフレットは1.5mm移動することになりました。

ナットも交換。特徴的な白黒白の3層材を再現するため、手持ちの材料を接着するところから。

オリジナルの造形を尊重しながら、自然に楽器に馴染み、快適に演奏できる形を作っていきます。
1弦の弦落ちがやや気になるとのことだったので4弦側に寄せ、そのぶん4弦も1弦から遠ざけて元の弦間を保っています。そのうえで弦どうしの端から端が等間隔になるよう2,3弦の位置を決めます。

楽器に馴染むよう着色し、取り付け。トラスロッドカバーのネジ穴も補修しています。

完成。

続いてブリッジの補修です。

全体の擦り合わせも施しました。

ピッチの問題も解決し、安心して使える状態に仕上がりました。

お渡し後にHofner日本サイトを見たところ引っかかる表記があり、スケールが「30″/76cm」となっています。
30インチは762mmなので、2mmものズレがあります。
あくまで日本サイトのスペック上の表記なのでざっくりした数値を載せているだけかもしれませんが、設計・製作時点で30インチと760mmがごっちゃになっているとしたら、今回のゼロフレット位置のズレ、全体のスケールのハッキリしなさにも納得がいくのです。

真相やいかに…

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