Ibanez EHBに指板延長を施しました。
加工前。カッタウェイはかなり深いのに24フレットしかありません。
まずフレット位置を確かめ、大まかな型紙を起こして造形を決めていきます。
今回はロッド穴を残すため1,2弦のみ延長します。もともと指板の端がスロープ状になっているので、そこを延長部分へどう繋げるかが造形上のキモになるでしょう。またロッド穴を残しつつ2弦下のフレットの有効幅を保つ必要もあります。
治具を組んでスロープを削り、延長部分を接着する土台を整えます。
トリマではここまで。角はノミで直角にします。
延長指板を作っていきましょう。まずネック材に相当する部分から。パンガパンガとウォルナットの貼り合わせ。
木目がなるべく揃うように木取りをします。
最終的にほぼネックポケットに隠れるものの、ラミネートの境目もピッタリ合わせます。
接着。
このようになりました。
溝切りをして、元の指板のRに合わせます。
曲面を繋げていきます。バインディングも元々の指板に合わせて貼りました。
26フレットの先が長く残っているとマヌケだし全体の造形と合わないので、そこは極力なだらかに。一方ロッド穴と接するところは大きく傾けると2弦下のフレットの有効幅が短くなってしまうので立て気味。それに元のスロープも含め、すべての曲面が自然に繋がるよう削っていきます。
フレット打ち。元々ステンレスフレットなので、それに合わせて手持ちのステンレスで同じ太さのものを打っていきます。
新しく打った3本の方が元のフレットより高いので、まずそこだけを大まかに削って高さをだいたい揃えます。
それから全体の擦り合わせを施し、最終的に弦を張ってロッドを締めた状態で擦ります。
擦り合わせ後に整形し、研磨。ステンレスなので時間はかかりますが、きちんと仕上げればその状態が長く続きます。
完成です。
木目も違和感なく繋がりました。
もともとカッタウェイが深く24フレットまで余裕で押さえられる形状なので、延長部分も無理なく押さえられる実用的なものになったと思います。
これまでにも指板延長は数多く施しております。
特殊な加工なので楽器ごとに適切な方法は違いますが、ぜひご相談ください。
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